日本共産党大分市議団

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 議員が議会に出席すれば、1日7,000円の日当がもらえる──。
 もちろん通常の給料とは別にです。大分市議会にこんな制度があることを、あなたは知っていましたか? この日当が「費用弁償」と呼ばれるもので、平成17年度予算でみると、市会議員一人あたり年間で約34万円、48人の市会議員全体では1,600万円以上の金額が計上されています。当然のことながら、その財源は私たちの税金です。
 日本共産党は議会出席時の費用弁償支給に反対するとともに、2005年6月議会からは費用弁償の受け取りを辞退しています。しかし共産党を除く44人の議員は、「費用弁償廃止の議案」(共産党提出)に反対し、今でもこの費用弁償をもらい続けています。
 私たちはこの事実を市民のみなさんに伝えるとともに、費用弁償について、みなさんの生の声を聞きたいと願っています。費用弁償の支給に賛成の方、反対の方、どちらとも言えない方など、回答の賛否や支持政党は問いません。どうかあなたの率直な意見を私たちにお寄せください。

 そもそも費用弁償とは何だろう?

 費用弁償とは議員に対する手当のひとつです。「費用を弁償する」という言葉ですから、「かかった経費を補償する」という意味になり、「議会に出席すればその日当を支払う」という解釈がされています。
 地方自治法第203条には「地方公共団体の非常勤職員が職務上要した費用に対しての弁償を行うことができる」という規定があり、費用弁償はこの規定に基づいて制定されたものです。
 その昔、議員は村の名士がほとんど無報酬で引き受けていたという歴史があり、費用弁償はその頃の名残であると考えている人もいます。

 大分市議会における費用弁償の問題点は?

 現行の「費用弁償」が、市民にはっきりと説明でき、その納得を得られる制度かどうかを考えることがとても大切です。
 まず、費用弁償が議会出席の日当と考えると、これは別途、議員報酬(給料)をもらっているわけですから、報酬の二重取りになってしまいます。だいたい議員が議会に出席するのは、魚屋さんが魚を売るのと同じで、当然すぎるくらい当然のことです。改めて日当をもらうようなことではありません。
 次に「費用弁償」を議会出席のための交通費だと考えると、1日7000円は高すぎるのではないでしょうか。議員活動における交通費等は政務調査費の支給対象になっていますので、調査のためのガソリン代か議会出席のためのガソリン代かを区別することはほとんど不可能に近いでしょう。
 今、大分市は財政的な赤字を解消するため数々の施策に取り組んでいます。その中には日本共産党が反対している福祉切り捨ての「経費削減」策もたくさんあります。無駄を削るというなら、まず議員から率先して、説明できない費用弁償のような経費を廃止するべきではないでしょうか。

 費用弁償、他県ではどうなっているの?

 費用弁償への取り組みは、各地方自治体ごとにさまざまです。
 しかし、昨今の経済状況と市民の政治参加意識の高まりの中で、費用弁償の制度自体が廃止される自治体も増えてきましたし、廃止されないまでも、その金額は大きく減額されるところが多くなりました。
 各地方自治体の費用弁償は、ごく大ざっぱに言って、廃止ないし縮小の傾向にあるということは間違いないでしょう。

 日本共産党大分市議団の態度は?

 私たちは「議員報酬は少なければ少ないほどよい」「議員定数も少なければ少ないほどよい」という立場にくみするものではありません。
 しかし、市政改革が叫ばれる中、議員が市民にきちんと説明できないお金は、金額の多少にかかわらず受け取るべきではないという結論に私たちはたどり着きました。もし議員の活動の中で、もっと費用が必要であるという局面が生まれたときは、正々堂々と予算要求するべきです。
 必要なお金は請求し、不必要なお金は返還する。回り道ではあっても、いつも市民に依存して活動することが議員の責務ではないでしょうか。

 費用弁償をめぐるこれまでのいきさつは?

 日本共産党大分市議団は、これまで議長に対し複数回、議会出席時の費用弁償の廃止を求めてきました。また、議会活性化検討委員会においても提案をしてきましたが、いずれも具体的な検討はされていません。
 これまで私たちは、費用弁償の制度自体がなくならない限り、その制度の批判はできても、お金の受け取りは拒否できないと思っていました。お金の受け取りを拒めば、公職選挙法に禁じられている「議員の寄付行為」とみなされるのではないかという懸念があったからです。
 しかし、費用弁償の問題を研究していく課程で、「議員の寄付行為」とならない方法があることを知りました。それは大阪、堺市の共産党市議団から学んだところが大きいのですが、例えば、単に費用弁償の受け取りを拒否するのではなく、これを「供託」する、などという方法です。(堺市市議会は平成16年の4月から費用弁償の制度を廃止しています)
 こうした研究の成果をもとに、2005年の6月議会において、日本共産党大分市議団は議案提出権を行使し、初めて「費用弁償の支給を廃止する条例案」を他の3議案とともに議会に提出しました。
 提出に際しての各派の申し入れでは、「費用弁償の廃止は日本の流れだから止められないだろう」と述べる他会派の議員も現れ、私たちも注目していたのですが、採決の結果は全員反対。日本共産党の4人だけが賛成し、他会派の44人は全員が反対にまわりました。反対の理由も「議員から提出するような議案ではない」などの、納得のいかないものばかり。中には「立場上7000円は受け取らないというポーズはとったものの、否決されたので共産党もほっとしているだろう」などという議員も……。
 日本共産党大分市議団は、2005年6月29日、 大分市議会議長にあての「議会出席時の費用弁償受け取りを辞退することなどの申し入れ」 を発表し、6月議会からの費用弁償の受け取りを辞退しています。

 費用弁償受け取り辞退後の課題は?

 私たちは2005年6月議会からの費用弁償の「請求書」に印鑑を押していません。市はこうして私たちが受け取らないお金を、供託ではなく、会計課に保留するという方法で対処しています。しかし、それにも「時効」があり、その期間は最長5年と定められています。
 この期間が過ぎると、保留金は全額市の会計に戻されることになり、その時点で「寄付行為」と見なされる可能性があります。前にも述べましたが、これは公職選挙法違反とされるかもしれません。ですからこの5年間は、いわば執行猶予の期間です。私たちはこの期間に費用弁償の制度そのものを廃止したいと考えています。
 「議会出席時の費用弁償」を廃止することは、議員の数の上では少数派ですが、多くの市民の方々の常識に照らし合わせれば、間違いなく多数派です。費用弁償を廃止できるかどうかは、市民のみなさんの声にかかっています。この5年間、みなさんと協力して、大きな世論のうねりを作り上げていきたいと思います。私たちはそのために全力で取り組みます。
 また、保留されている費用弁償の金額は、時効がくればいったんは受け取らざるを得ませんが、私たちは絶対に自分たちの懐に入れません。このことをはっきりとお約束いたします。

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参考資料

「費用弁償廃止条例案」について−05年6月議会速報−(PDF)

総務常任委員会議事録−6月議会抜粋−(PDF)

めぐみ日記「1日7000円の費用弁償は温存し、1年間わずか6000円の敬老年金の
 創設には反対とは」(05年6月27日)


議会出席時の費用弁償受け取りを辞退することなどの申し入れ−05年6月29日−

めぐみ日記「費用弁償受け取り辞退を議長に申し入れ」(05年6月29日)

平成17年6月に出席された議会または委員会に係わる費用弁償の支給について
 −平成17年10月21日市文書−(PDF)