学校選択制についての公開質問状

2006年4月19日

大分市教育委員会
教育長 秦政博殿

大分市学校選択制を考える市民有志の会
    代表   脇屋光代

学校選択制の導入に向けて、大分市立小中学校選択制検討委員会がつくられ、さる3月30日、同検討委員会は、小中学校の「隣接校選択制導入」の報告書を大分市教育委員会に提出しました。

私たちは、第4回検討委員会から傍聴させていただきました。また検討委員会に対しても、導入すべき立場ではなく、関係者の意見を充分に聞くことや懸念事項の解消に論議をつくし、性急な結論を出すのではなく、慎重に進めること。また実施自治体の評価を十分に検証することなどを申し入れました。

しかし、検討委員会の報告書を見るかぎり、これまでの5つの懸念事項解消に対する論議が深められていません。また8項目もの付帯意見がつけられ、「導入さきにありき」の学校選択制を実施することに強い危機感をいだいています。

今日、学校教育の現場でかかえている困難な状況が、この「小中学校選択制」の導入で改善されるとは、とうてい思えません。実施自治体では、教育は市場原理のなかに追い立てられ、学校間競争があおられ、教育の公共性は破壊されようとしています。これは、教育に対する行政の責任放棄といわざるをえません。

学校・家庭・地域のトライアングルで子どもを育てようとする流れに逆行する制度をあえて導入しようとしているからこそ、多くの問題点が噴出するのではないでしょうか。
学校は「選ぶ」ものではなく、ともに「つくる」ものではないでしょうか。私たちは、学校・地域が一致協力して、私たちの「地域の学校」をつくっていきたいと思っています。

この度、以上のような思いから、私たちは貴教育委員会に、下記の疑問点等に対し、公開質問状を提出します。是非とも誠意あるご回答を文書でお寄せいただきたいと思います。

つきましては、5月10日までに、ご回答いただくよう、重ねてお願いいたします。

1、学校教育における選択権の問題は、児童・生徒・保護者から出されている喫緊のニーズの一つとしていますが、検討委員会をたちあげるまで、学校選択制の要望はどの程度寄せられたのでしょうか。

2、先に申し入れをした、学校選択制実施自治体と学校選択制導入をとりやめた自治体の調査・評価はされたのでしょうか。実施されているのなら、その結果についての、お考えをお示しください。

3、大多数の子供たちにとって、現在の通学区域制度でどのような問題があるのでしょうか。

4、「特色ある学校」、「適正な競争」とは、どのようなものでしょうか。

5、検討委員会の付帯意見1、「点数主義に偏るなど、学校間に過度な競争が生じないよう配慮すること。」について、「過度な競争を生じない」ための対応・施策をどのようにお考えでしょうか。

6、検討委員会付帯意見2、「特色づくり等により学校がさらに活性化できるよう、人事面等の配慮をすること。」についてどのような分野への人的配置お考えでしょうか。

7、検討委員会付帯意見4、「地域的に選択の幅がない地域」とは、どの地域のことを想定しているのでしょうか。また「別途配慮」とは、具体的にどのようなことをお考えでしょうか。

8、検討委員会付帯意見5、「学校情報は可能な限り開示」とは学校情報開示の範囲はどのようにお考えでしょうか。

9、検討委員会付帯意見6、「実施にあたっては、児童・生徒・保護者をはじめ関係者に対し、十分な説明に努める」としていますが、関係者の範囲はどの程度に考えていますか。また説明会はどのような内容・形・規模でおこなうのでしょうか。

10、検討委員会付帯意見3、「児童・生徒の登下校時の安全性に配慮すること。」また7、「地域連携を一層深めていく学校運営に努めること」としています。
大分市政の基本方向として、地域コミュ二ィティーの再構築を掲げていますが、児童・生徒の登下校の安全対策と地域・PTAとの関わりをどのように考えているのでしょうか。また「地域連携を一層深めていく学校運営」とは、どのような学校運営を想定されているのでしょうか。

11、小中学校が統廃合になる場合、地域住民・関係者の意見をどのように尊重するのでしょうか。

以上

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