学校選択制についての申し入れ
大分市立小中学校選択制検討委員会
会長 山崎 清男 殿
2006年2月8日
大分市学校選択制を考える市民有志
代表 脇屋 光代
「申し入れ趣旨」
学校選択制の導入に向けて、大分市立小中学校選択制検討委員会がつくられ、すでに4回の検討委員会が開催されましたが、私たちはその成り行きを、新聞などの報道でずっと見守ってきました。そして、少ないながらもいろんな情報や資料を持ち寄り、学校選択制について意見を交わしてきました。急であるにもかかわらず、広範囲な方々がそれぞれの立場で真剣に関わっています。
ところが、1月21日付けの新聞で、第4回検討委員会で「小中学校に学校選択制を導入すべき」との結論を出したと知り、大変驚きました。
大分市教育委員会は、学校選択制の目的を「学校の活性化」「各学校が特色ある学校づくりを適正にきそいあい、この特色に応じて、児童・生徒が自分にあった就学校を選べること」「居住地より、より近い学校に通いたいという市民の声を反映できるようにすること」としています。
また、学校選択制を検討する理由として、学力低下、いじめ・不登校など「学級崩壊」をなくすことや地理的事情などの解消のため、としています。このことを論ずるならばすでに、文部省通知(平成9年1月27日)『通学区域制度の弾力的運用について』のなかに「地理的な理由や身体的理由、いじめの対応を理由とする場合の外、児童生徒の具体的事情に即して相当と認めるときは、保護者の申し立てにより、これを認めることができる」と、あるように、この弾力的運用で対応することは可能です。あえて学校選択制の是非を検討する必要があるのでしょうか。
検討委員会では「子どもを対象にした事件があるなか、地域との連携が取れてきたのに、学校選択制で地域との連携がこわれるのではないか」「学校・地域・家庭というトライアングルが学校選択制でどういう影響を受けるのか」さらに、「学力テストの公開と結びつき、学校間格差・序列化の拡大につながるのでは」など、関係者の懸念の声が紹介されています。
2月2日、大分市が実施した学校選択制の意見募集の結果が新聞報道されていました。
意見はわずか158件ですが、近くの学校に通えるなどのメリットの一方で、学校格差の広がり、地域活動への参加率低下などを心配する声が寄せられています。
なによりも、私たちが問題であると考えるのは、保護者など、関係者があまり詳しく内容を知らされないまま、性急にすすめられていることです。また、当事者である児童・生徒の意見も十分尊重して考えていくべきです。
さらに、学校選択制を実施している自治体は、まだごくわずかです。実施自治体の評価についても、十分に検証する必要があります。こうしたことから、「検討委員会」としては、性急な結論を出すのではなく、十分な情報提供をおこない、関係者の意見をくまなく集約し、慎重にすすめていくべきと考えます。よって、下記事項について、善処されますように申し入れいたします。
「申し入れ事項」
1、
学校選択制導入の是非については、懸念事項の解消に、委員全員の一致をみるまで、 論議を尽くすべきです。関係者の意見を十分にくみ取り、性急に結論を出すのではなく、慎重に進めること。
2、
これまで、校区の学校に行くのが当たり前であった制度が、変えられるかもしれないのですから、全ての市民が、この制度について充分知ることができるよう、学校選択制の是非について判断できる必要な情報を公開すること。また、経過報告を市民に知らせる場をつくるように、教育委員会に要請すること。
3、
学校選択制を実施している自治体はまだごくわずかです。導入すべきの立場ではなく実施自治体の評価について充分検証すること。