福間健治6月議会一般質問要旨
日本共産党の福間健治です。質問通告に従い順次質問します。
最初に教育行政についてです。
まず教育基本法についてです。小泉内閣が通常国会に提出した教育基本法改定案は、「教育基本法改悪許すな」という、急速に盛り上がった国民の世論と運動で継続審議となりました。
教育基本法は「教育の憲法」いわれるほど重みのある法律です。政府は基本法を全面的に改定する理由として「時代の要請応えるため」といっていますが、政府の文書では、教育基本法のどこが、時代の要請に応えられなくなっているのか。一つの事実も根拠もありません。
いま、子供の非行や学力問題、不登校、学級崩壊や子供と学校間格差の拡大など、こどもと教育をめぐるさまざまな問題の解決を、多くの国民は願っています。これらの問題は教育基本法にあるのではなく、歴代政府が教育基本法の民主主義的な理念を棚上げし、それに逆行する競争と管理の教育を押し付けてきたことにあります。
政府改定案の重大な問題は、こども一人一人の「人格の形成をめざす教育」から「国策にしたがう人間をつくる教育」という、教育の基本方針を180度転換させようとしていることです。
改定案は、基本法にあらたに第二条をつくり、「教育目標」として、「国を愛する態度」など二十にも及ぶ徳目を列挙し、その「目標達成を」を学校や教職員、子供たちに義務づけようとしています。そのことは改訂第5条「義務教育」6条「学校教育」でもさらに具体的に明記されています。これらが、憲法19条が保障した思想・良心・内心の自由をふみにじることは明らかです
また改定案は、教育目標を達成するために、教育への国家権力の無制限な介入をおこなをうとしています。現行の教育基本法は、教育の目的1条・教育は「人格の完成」をめざす。第10条「国家権力による教育内容への不当な支配の禁止」第6条・「学校の教員は全体の奉仕者」と定めています。ところが改定案は、「国民全体に責任を負って」を削除し、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」に置き換えています。また「全体の奉仕者」を削除しています。さらに政府が「教育振興基本計画」によって、教育内容を数値目標などを含め詳細に決め、実施・評価することができるとしています。まっさきにやろうとしているのが、小学校6年生、中学校3年生を対象にした全国一斉の学力テストの実施であり、すでにこの具体化がすんでいます。
これは、国が法律で命ずるとおりの教育をやれ、政府が決めた通りの計画を実行せよというものです。改定案は、政府による教育内容への無制限な介入支配に道をひらくものとなります。これは教育の自主性・自立性、自由を根底からくつがえすことになります。
教育基本法の全面改定は、憲法を変えて、海外で戦争する国をつくろうという動きと一体のものです。また政府・財界は、教育をいっそう競争本位にし、こどもたちを早い時期から勝ち組・負け組に分け、新自由主義にもとづく、弱肉強肉の経済社会に順応する人間をつくることをねらっています。
今日の教育にもとめられているのは、教育基本法の精神を遵守し、公教育の立場を守り・発展させることです。
そこで質問します。1、教育基本法改正(案)をどのようにうけとめていますか。2、小泉首相は、我が党の志位委員長の、「学習児童要領で実施されている愛国心をA B Cで評価するような通知表はやってはならないことだ」との質問に、「率直にいって評価するのは難しい、こういう項目はもたなくてよい」と答弁しています。この首相答弁をどのように受けとめていますか。3、10条の全面改悪は、これまで文部科学省が行政の裁量としておこなってきた、学習指導要領、全国一斉学力テスト、教科書検定、「日の丸・君が代」の強制にお墨付きを与え、政府が今後どんな裁量行政をやっても「不当な支配」にはならないー天下御免にするというものであります。教育長がよくいわれる、よりよい教育環境づくりに背を向けるものと考えますが。どのようにお考えでしょうか。以上3点について、教育長の見解を求めます。
次に、学校選択制について
大分市教育委員会は、5月24日の市議会文教常任委員会に、「学校選択制導入に係る基本方針」を発表しました。
導入方式は「隣接校選択制」とし、平成19年度から、大分市中心部の小学校9校・中学校4校で、2年間の試行実施をして、平成21年度から、全市域で実施するとしています。
しかし、保護者など関係者に充分な説明のないままでの基本方針の決定は「導入さきにありき」で、このような市民不在の姿勢は問題です。
また、検討委員会が指摘した懸念事項や市民からだされた意見について、十分な検討がされていないまま、性急な導入決定は、行政の責任放棄につうずるものです。
保護者・教職員・自治会などの関係者からは、「学校間の格差が生まれるのではないか」「学校・地域・家庭の連携が希薄になるのではないか」「経済面などで不平等がおこるのではないか」「子どもの安全が心配」などの不安の声があがっています。
今日、学力低下、いじめ・不登校、学級崩壊、それに格差社会の進行が、子どもたちに否定的影響を及ぼしています。「より近い学校へ」「学校の特色づくりによる活性化」という、うたい文句での、学校選択制の導入がこれらの諸問題の解決に回答をあたえるどころか、ますます格差と競争、管理教育を助長するものになることが懸念されます。この根底には、教育基本法改悪と一体のものがあることは、明瞭であります。
今求められていることは、教育基本法の精神を堅持し、すべての子どもは主権者・市民として必要な基礎学力、体力、情操、市民道徳を身につけることを保障するという公教育の原点に立ち戻るべきと考えます。
このことが大分市の将来を担う子たちへの、よりよい教育環境づくりにつながると確信しています。
そこで質問しますが、1、保護者など多くの関係者が不安や懸念をもっている学校選択制を急ぐ根拠はどこにあるのでしょうか。2、多くの問題点を抱え、関係者の十分な納得も合意も得ていない、小中学校の「隣接校学校選択制」の性急な導入方針は撤回すべきであります。以上2点について、見解を求めます。
次に、教育格差の是正についてです。
市場原理をどこまでも貫徹させようとする新自由主義は、小泉構造改革路線によって、「格差社会」を進行させています。これが、子どもと家庭の格差拡大として表面化しています。就学援助世帯は10年で2倍以上の12・8%に、大分市では、6年間で7・86%〜12・54%と増加しています。家庭の貧困は、子育て困難の土壌となり、学力を左右します。国際的な学力調査によっても日本の学力格差が広がっていること。とくに低学力層が以前より増加しています。学力格差は、進学先格差となり、就職格差で決定的となります。
しかも教育分野への「教育制度の複線化」「教育メニューの多様化」による公市立の小中・中高一貫校、学区自由化などのメニューの多くは、経済的にある程度余裕のある階層が利用・選択できるメニューであり、子供の格差をさらに拡大するものとなります。昨年12月、政府の規制緩和・民間開放推進会議の第2次答申の一節では「特に、きめ細かい対応が必要とされる学力的に不利な立場にある児童・生徒、すなわち教育弱者が放置され、早い段階から学習意欲を喪失してしまうことになりかねない」と指摘しています。しかし答申がかかげたのは、@免許なしの教員採用の拡大、A保護者・生徒による教員評価を処遇に連動、B学校選択の自由の徹底、C全国学力調査など学校情報の公開、Dバウチャー構想の実現などで、教育弱者を引き上げる政策は皆無であります。
今、子供の格差を埋めることは公教育の正否のかかる重要な部分であります。
いま学校現場では手のかかる子供たちが増えています。そこには子供の学習まで関心がもてなくなるほどの家庭の貧困と困難、裕福な家庭での過干渉などの社会の様々なゆがみが反映しています。また不登校児童・生徒、虐待を受けた子どもたちなどを丁寧に面倒みることが、公教育には求められています。そこで質問します。1、教育格差について、大分市の現状どうなっているのでしようか。2、格差是正のために、なによりも少人数学級のいっそうの拡大が必要と考えます。3、学習が遅れがちの子供たちへの独自の指導体制の強化が求められます。以上3点について見解を求めます。
次に、下請け代金不払い問題について質問します。
先般、大分市発注の農道改良工事の下請けをした市外の業者から次ぎのような訴えがありました。元請けと、土木工、よう壁工で、下請け契約金額1、365万円、工期は平成16年12月1日から平成17年3月1日とする内容で下請け契約をした。平成17年3月14日には、設計変更により、約2百62万3千円の増額と工期末を3月30日までとする、契約変更をおこなった。工事完了検査は、3月30日に無事終了しました。しかしその翌々日17年4月1日付けで、元請けの代理として、行政書士から、1、本工事において、現在契約している注文書は契約不履行を理由に解除する。2、再契約の締結にあたっては、直接話し合いの場を設けることにより取り決めるというものでした。
また同年5月16日には、元請け代理人の弁護士より、貴社に対する金銭支払い義務は存在しないとの認識であるという内容証明が送りつけられています。
この下請け業者は、これまで工事代金200万円をもらったのみで、工事にようした費用を借金して支払いをしています。不払い金額は、1、165万円です。これまで、元請け、発注者などに窮状を訴えても、問題が解決せず、今年4月、私どものところに相談に見えました。私は、下請け業者の経営を守る上で見逃せない問題と考えます。そこで質問します。1、この下請け業者は、本工事の契約不履行があったのかどうか。2、この工事について、発注者である大分市は、何度も相談があったと聞いていますが、客観的事実を元に、真偽を双方から確認及び十分な調査をおこなったのか。3、請負者は、工事代金が下請けの末端まで、いきわたっているかどうか、最後まで確認する責任があるはずです。また請負者が、行政書士や弁護士に依頼し、下請け代金を支払いを拒むのは、建設業法の「対等公正・信義誠実」の原則からはずれ、請負契約について不誠実な行為であり、建設業法の監督処分の対象になります。発注者は適切な指導をおこなうべきです。4、この元請け業者には、この問題が解決もしていないのに、問題発生以後、大分市は7000万円(20件)もの工事を発注しているのは問題と考えます。以上4点について見解を求めます。
最後に地域の問題について、押しボタン式信号機の設置について、質問します。
大道3・4・5丁目などのお年寄りが、西大道にある病院や薬局にいくために、横断歩道橋が設置されています。しかし、脳梗塞などによる高齢者が多く、利用できない状況にあります。多くの方々は、大道小学校前交差点歩道と志手入り口交差点歩道を通らなくてはなりません。また国道10号大道バイパスは、高速で走る車が多く、日々危険にさらされています。スピードの出し過ぎによる死亡事故の多発地域でもあります。
押しボタン式信号機の設置は、スピード抑止の対策、高齢者をはじめ地域住民の生活の利便のために役立つものです。押しボタン信号機などの設置要望については、関係機関に積極的に働きかけていただきたいと考えますが、見解を求め、質問を終わります。